第一段 笑える・・
健康モノの本はやはりショッキングなタイトルや重篤な内容?が多いもの。皆さんも癌には関心があるだろうし、「癌を生きる」という本はどこかで見たりしていると思う。でも”あの本”は知らなかったりするのではないだろうか。
「癌を生きる」はご存知のとおり、闘病の辛さ、死が迫るという恐怖が根底にあって誰でも「大変だ」ということは感じるし、涙をそそると思う。これを知っていて次なるタイトルに接触した時の笑撃度は凄い。
それは「ハゲを生きる」という本!!!!何というストレートなお言葉。見た瞬間爆笑したかったものの、静まり返った書店ではそれも叶わず(薄い人ごめんなさい)、レジでも電車内でも引きつる顔を抑えながら(ホントごめんなさい)、やっと家にたどり着いた(ああ結構辛い)。ところが読んでみるとまた爆笑ではなくて真面目(と言ってもやっぱり笑ってしまうが)。というのも、療法や励まし?の類ではなく、ハゲを社会学的に解釈するという内容であるのだ(何で家庭の医学コーナーに置いてあるんだ)。社会調査の手法に則って面接調査やら分析をするのだが、これまた変に良くできていてオカシイ!この男性にとって強烈なマイナスイメージをもたらす現象を扱うにあたって、表現について著者曰く「当初、若干のためらいもあり、”薄毛”や”脱毛的状況(といった造語)”のように侮蔑的意味あいが緩和された表現も考えたが、あえてハゲを用いることとした」とのこと。ああ学術的なのネと思わせる先からたたみ掛けるような「ハゲ」の連続!「1、9分け」や「バーコード」ではなく「すだれ」と言い切ってしまったり、インタビューの対象が「光頭会」の人だったりする。
とにかく「ハゲ」とは何だろうと問いたい人は一読されると良い。読んだからって治らないが・・・。
「ハゲを生きる―外見と男らしさの社会学―」 須長史生 著 鎌、草書房 刊
第二段 新しい視点
小渕首相が脳梗塞で亡くなったのは記憶に新しいところ。実のところ親父もそうだったので前から興味があった。脳梗塞の解説本は2〜3見られるが、闘病記はこれまで見かけなかった。やはりそれは生還率が低いからだろうか。「脳梗塞になったらあなたはどうする」は、あの経済人類学者栗本氏が自身の体験を元に、発症からリハビリによる回復までをわかりやすく述べていて、さらに脳梗塞の正しい理解、病院や医師、予防・リハビリの要点について具体的に解説している。確かにこれは医師が書いたのとは全く違う新しい視点からの本だ。多くの医師が認識を誤っていることや、体制のできている病院が非常に少ないことを挙げ、その為助からない、または回復しないことが多いという日本の現状を訴えている。政治、経済と共に医療も改革が必要なのだろう。リハビリ中から原稿を練っていたということもあるのか文章が少し?なところが散見されるが、逆にこの方がリアリティーがある。脳梗塞の傾向がある人や、ご家族、心配な人は是非読んだ方が良い。
「栗本慎一郎の脳梗塞になったらあなたはどうする−予防・闘病・完全復帰のガイド−」栗本慎一郎 著 たちばな出版 刊
第三段 腸
私の母は筋金入りの便秘である。そして身体が弱い。そんなことが頭にあって、たまたまテレビ朝日の「本パラ」を見ていたら便秘解消法として1冊の本を紹介していた。皆さんはあの番組で紹介された本は読むのであろうか?内容は前半が宿便がいかに害を成すか、後半が便秘解消法について。番組では確か便秘解消法に焦点を置いていたが、この本の本命は便秘の害を知らしめることだと思う。宿便に悪玉菌が増え、有毒物質を排出することが様々な病気の元でもあるというのが基本であるが、偏った食餌や抗生物質が善玉菌を滅ぼすという主張は現代人の生活を改めよという警告でもある。
ここで1つの疑問が解けた。春に長引くインフルエンザで病院から抗生物質をもらっていたが、インフルエンザが治った後3ヶ月も手足の皮がむけるという異常な事態が起きた。あの「法の華」の福永法源が「開眼した時、手足の皮が全てむけた」とか言っていたそうだが、「俺も生まれ変わるゾ!」などと笑っている場合ではなかった。指紋が無くなってすべるし汚いし・・・。今思うと善玉菌が死滅して悪玉菌が増え、有毒物質が体質を変えたのだろう。
番組で紹介しなかった部分がある。宿便のカラー写真だ。わざわざ写真を載せるくらい凄いので、とても放送では出せなかったのだろう(ゴールデンタイムに腐った「う○こ」はやはりマズイ・・)。これがまた解説が無ければゴムか古いビニールか重油の塊にしか見えない。しかも”70p”とか”バケツ1杯”という代物なのである(ある意味”偉大”だ)。これを見ればやはり「出した方が良い」と誰でも思うに違いない。ウン悪く食事前にここを読んだ人、食欲が無くなったらそのままにしておこう。「少しでも食欲が無ければ食べない方が良い」とこの本は教える。腸は”超”大切!身体に原因不明の不調がある人は読んだ方が良い。そのお腹にも「ゴム状」のが溜まっているかも。
「汚れた腸が病気をつくる−腸をクリーンにする究極的方法−」バーナード・ジェンセン 著 月村澄江 訳 ダイナミックセラーズ 刊
第四段 温泉
お盆である。例年通り休暇を取る方も多いと思うが、休暇で旅行というと「温泉」も根強い人気がある。その目的と言えば、良い旅館(料理!)や自然浴もあるけれど、やはり日頃の疲れを取ってリフレッシュというのがある。ところでどうしてリフレッシュできたり病気が治るのか?ということは漠然としか知らないので、簡単に説明している本は無いか探してみた。
「温泉の医学」はそのあたりを解りやすく解説している一冊だと思う。簡単にまとめると、総合的生体調整作用と言って温度、水圧、泉質などの個々の刺激が総合的に働いて、心身の調子を整える作用があり、自律神経系、ホルモン系、免疫系などを介して体のひずみを整え諸機能を正常化させるのだという。当然、温泉地の自然に触れたり、運動することも総合刺激となる訳だ。
面白いのはアルカリ性の温泉と酸性の温泉の両方でアトピー性皮膚炎に効果があり、研究されていること。アルカリ性では岡山県の湯原温泉病院の脱ステロイドへの取り組みが紹介されている。明確な答えは出ていないが、全体を読み通すと「美人の湯」がアルカリ性温泉に多いことと関係がありそうだ(ナント言っても美肌効果)。酸性温泉では有名な草津温泉での効果が紹介されている。こちらは強力な酸性と成分が殺菌力を発揮して、黄色ブドウ球菌を皮膚から除くことで感染症としての皮膚炎が治るというもの。
この他様々な病気への効果が解説されていて、温泉療法医のいる温泉病院一覧なども巻末にある。単純に泉質や宿の紹介をしている本では物足りないと言う人や真剣に療養したい人は読んでみると良い。
「温泉の医学」 飯島裕一 著 講談社現代新書
第五段 たべもの
「あるある大事典」や「おもいっきりテレビ」を見る人は健康に食事が関係するのを良く聞くと思う。皆さんも活性酸素が害になるから、打ち消す為にこれこれを食べようというのは結構聞いているのではないだろうか。しかしナント、こういうことはアメリカの話題を日本のマスコミが拾っている!アメリカ上院には栄養問題特別委員会というのがあって(日本の「学会」とは全く違う)ガン、心臓病、脳卒中といった病気の多発を食い止めようと研究していた。医学が進歩しているのに病気が増えては国力を落とすから(ここがそもそも日本と違う)。その研究が半端でない。世界中から専門家や資料を集め、2年間キッチリ検討したという!出た結果が現代アメリカ的食事、つまり肉中心でファーストフードと菓子ばかりの食事が原因だということ。自分のライフスタイルを否定するほど反省するのも凄いが、またその結果が即一般に知らされるところが違う。
繊維質を取りましょうというのは良く聞く話だが、今回の本は大抵の話がショッキングだ。砂糖が麻薬の様な作用をする、つまり子供が「キレル」のに深い繋がりがあるということや、かつての長寿村が近代化したら高齢者より中年が多く死ぬようになったり、20代で動脈硬化、30代で心臓病多発・・・。日本の健康解説本で「夏の疲れを取る過し方」とかを読む前に、これを読んでおきたい!
とにかく「朝マック」ご愛用の皆さん、アメリカじゃ皆バーガーとポテトチップ食べてコーラばかり飲んでるんじゃないですよ!健康食が流行ってるそうです。この流行に乗り遅れると早死にします!アメリカの栄養問題委が研究結果から「食事改善目標」を出したのが1977年。厚生省がそれを読んで「健康作りのための食生活指針」を出したのが1985年。流行はかなり遅れてやって来るようで・・・。
「いまの食生活では早死にする」 今村光一 著 リュウブックス(タツの本)
第六段 再びたべもの
「たべもの」つながりでもう一つ。長寿、健康の秘訣は食事にあるといっても、長寿村も今では食生活が変ってしまったというし、聞きに行くわけにも・・・と思っていたら、例の人の長寿の秘訣が本になっていた。あの日本一有名なご長寿のきんさん・ぎんさん(ナントも解りやすい例)。
お二人は亡くなられたが、その食事の内容から106歳という長寿(取材当時)の秘訣を探ろうというのがこの本だ。四季折々何を食べてきたのか?著者が1年間きんさん・ぎんさん宅に通ってチェックしたそうだ。こう書くと「何か秘密の食材があってもの凄い効果が・・・」と期待する人が多いかもしれないが、そういう物があれば世界中の学者が名古屋に押しかけただろう(地域振興の為にはそうであって欲しかったり)。ところがそんな物は無かった。そう、今時の食生活をしている人には少し耐えられない内容かも!でもそれは、ある年代までに子供時代を送っていた人には、懐かしい食事風景だったりもする。
内容から少し言うと、梅干をよく食べている(最近焼いた梅干に血流を良くする効果があると紹介されたが)。煮物料理の和食が基本で、実際食卓にはほとんど洋食が出ない。そして量が少ない。第五段で紹介した本を思い出して欲しいが、食べ過ぎの割りにミネラルが足りないのが現代病の元。理にかなっている食事内容ということだ。
「この食材が良い」というのでなく、この本には実際に食卓に出た献立が載せてある(食材の話は栄養分のことばかりで解り難い)。それでも若干解説が加えられている部分はある。ただし写真や献立が多いし、きんさんの食事や生活についてのお言葉(徹底してあの名古屋弁!)が所々入っていて、ハッキリ言って読む部分は少ない本だ。しかし「秘訣」は汲み取れる。特に長生きしたくなくても、健康を維持したいなら読んでみると良い。
「百六歳のでゃあこうぶつ」−きんさんぎんさんの長寿の食事− 鈴木朝子 著 新潮文庫
第七段 風水
近年ブームの風水。日本では占いに分類されているようだし、風水をモチーフにしたグッズがお守り的に良く売れているが、真剣に取り組んでいるという人はまだ多くはない。これがちょっと海外のことを知るとビックリする様なことになっている。ご存知の通り中国大陸で生まれた風水。香港上海銀行が風水を用いた設計だというのは結構聞く話だったりするものの、アメリカの建築にどんどん取り入れられていると聞けば驚くと思う。が、香港上海銀行を設計したのがノーマン・フォスターというイギリス人と聞けばもっと驚くと思う。当のアメリカでは不動産界、ファッション界のリーダー的人物が風水で躍進、復活を遂げたこともあり日本以上のブームとか。更にトドメは大統領の執務室を風水で改装しようという週刊誌もブっ飛ぶ話!(我が国の国会議事堂にお清めの塩でも撒いてやろうかな)
「健康を大事にしないと出世しない」お国柄で、エクゼクティブが食事の面でも和食を取り入れているのは先に紹介したが、風水についても精力的に取り入れているそうだ。何故にこんなに流行るのか?本当に良い物はすぐ取り入れる文化もあるが、やはり実績があるということらしい。それにもともと受け止め方が違う。「環境を整備し、建物を健康にする技術」つまりテクノロジーとして捉えている。環境には関心が高いこともあり一気に広まったのだ。
日本ではこんな小物を使うと良いという紹介の仕方が多いこともあって基本が解らないこともある。例えばある本に「経営者は背もたれの高い肘付きの椅子を選ぼう」とだけ書いてあると何か呪術的意味があるのかと思ってしまうが、「背中を冷やさない様に」という意味なのだ(経営者は常に健康でなきゃ)。肘掛がついているのはリラックスの為、張り地の色はカラーセラピーと理にかなっている。今回の本、実はビジネス書で社屋やオフィスはこうすべきという部分が多い。悲惨な経済の今日この頃、模様替えだけでも商売が上向くとなればやってみる価値はある。と簡単に内容を紹介してみたが、即刻読みたくなった人も多いはず。
「社運・金運を呼びよせる21世紀経営戦略」 松永修岳 著 椛謫海援隊 刊
第八段 ”あの人”の裏側
ニュース畑なのがバラエティーに出て受けている「あの人」。妙に真面目なところが笑いを誘う鈴木史朗さんの本である(最近は笑っているところも見受けられるが)。時々番組でビタミンの薀蓄を語るのはお堅い性格だからだと思っていたら、本当に知識があるのだった。この本、鈴木さんの自伝的な面と健康オタク的部分、更に番組で係わったご長寿から読み取った長生きの秘訣をミックスした内容で、健康関係としては大分変っている。ただ健康オタクといっても実践的で(何でも試すのは私に似ている)、変に理屈を並べられるより説得力がある。まあ全編真面目な鈴木さんを浮き彫りにしていて良い。別に鈴木さんが決めたのではないが、2001年1月1日初版発行というのを見ても笑ってしまうのは私だけではないだろう。
『−鈴木史朗の健康道場−「ご長寿」TVで超寿のコツ』 鈴木史朗 著 小学館文庫
第九段 普段の議員さん達
”浮世床”という言葉も死語だが、理髪店に行けば身近な話題が出るというもの。理髪店の場所によってお客さんの層も違うわけだが、これが国会議員さんとなるとチョット聞いてみたい気がする。この本は議員会館の理髪店のオーナーが長年議員の髪を整えてきた中でのエピソード集になっている。マスコミからのイメージなどでは出てこない部分で、「この人にはこういう部分があるのか」というのが見えてくるのだが、特に故小渕氏の人物が良く現れている。自叙伝の様に堅苦しくないところも読みやすくて良いかもしれない。
「永田町床屋政談」 小枝義人 著 新潮OH!文庫
第十段 その後の社会
なんだか東海がどうの富士山がどうのと言われ始めたが、近年の大震災と言えば阪神大震災。テレビでの生々しい映像を覚えている人も多いと思う。当然大災害で悲惨なことは良く知っているのだが、テレビ取材やいろいろな被害の数字ではない「その後の生活」という部分は意外に分からないもの。それも老人の孤独死や家の二重ローン等の悲惨な話ではなく、地震直後のトンチンカンな行動を始めとする抱腹絶倒、摩訶不思議、正に”?”な状態のお話。関西のノリもあって、ン千万の被害も「ネタ」にしてしまうのもスゴイが、ボランティア間の確執や、風呂に入りたい一心でのハワイ行き強行など強力なお笑いネタのオンパレード。テレビの珍事件特集の様な事がある地帯に集中して起きたと思えば良い。また援助物資も珍妙なモノが多かった様だが、援助物資といえば、ある非公認の避難所には援助物資が来ないのでマスコミに訴えたら有り余るほど入り、今度は周辺の避難所に回して助けるようになったという、まるで発展途上国が日本などの援助を受けたら先進国並みになり周辺国に援助を始めるという世界の歴史を短期間で見てしまったお話もある。巻頭に田辺聖子の推薦文を載っけるこの本は文句なく笑えるが、本当に次の災害を乗り切る知恵になるのであろうか?
「大震災名言録 次の災害を乗り越えるための知恵」 藤尾 潔 著 知恵の森文庫 光文社